抗うつ薬の種類・効果効能・副作用の解説

抗うつ薬はうつ病、パニック症、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害、PTSDなどに処方します。

不安に対する作用の強いSSRI、意欲・易疲労感に対する作用の強いSNRI・NaSSAに大別されます。

効果が出るのに2週間程度かかり、原則は単剤使用が推奨されています。

再発予防効果もあり、症状が良くなってからも半年〜9ヶ月は継続することが多いです。

当院でも処方される代表的な抗うつ薬について御説明します。

SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)

レクサプロ(エスシタロプラムシュウ酸塩錠)

レクサプロは、うつ病、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対して処方する薬です。

ゆううつな気持ちや、不安やイライラ、やる気がなくなるなどのこころの症状や、食欲がなくなる、眠れないなどの体の症状を改善します。

人前での強い緊張や不安感、ふるえなどの症状を改善する効果もあります。

脳内の神経伝達物質(セロトニン)の量を増やすことにより、ゆううつな気持ちや落ち込んでいる気分をやわらげる働きがあります。

主な副作用としては、眠気、頭痛、倦怠感、浮動性めまい、悪心、口渇、異常感、無力症、浮腫、熱感、発熱があります。

用法は、1日1回夕食後に口から服用します。

ジェイゾロフト(セルトラリン塩酸塩錠)

ジェイゾロフトは、うつ病、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対して処方する薬です。

ゆううつな気持ちや、不安やイライラ、やる気がなくなるなどのこころの症状や、食欲がなくなる、眠れないなどの体の症状を改善します。

恐怖心をやわらげる作用もあります。

脳内の神経伝達物質(セロトニン)の量を増やすことにより、ゆううつな気持ちや落ち込んでいる気分をやわらげる働きがあります。

突然の動悸やめまいなどとともに強い不安があらわれるパニック発作や発作が起こることへの不安感を改善するお薬です。

副作用としては、傾眠、悪心、嘔吐、睡眠障害、不眠、錯乱状態、悪夢、易怒性(怒りっぽくなる)があります。

用法は、1日1回口から服用します。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

イフェクサー(ベンラファキシン塩酸塩徐放カプセル)

イフェクサーは、うつ病に対して処方する薬です。

ゆううつな気持ちや、不安やイライラ、やる気がなくなるなどのこころの症状や、食欲がなくなる、眠れないなどの体の症状を改善するお薬です。

脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニン)の量を増やすことにより、ゆううつな気持ちや落ち込んでいる気分をやわらげる働きがあります。

副作用としては、発汗、下痢、傾眠、浮動性めまい、頭痛、不眠症、悪心、腹部不快感、腹痛、腹部膨満、便秘があります。

用法は、1日1回食後に口から服用します。

サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩カプセル)

サインバルタは、うつ病に対して処方する薬です。

ゆううつな気持ちや、不安やイライラ、やる気がなくなるなどのこころの症状や、食欲がなくなる、眠れないなどの体の症状を改善します。

脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニン)の量を増やすことにより、ゆううつな気持ちや落ち込んでいる気分をやわらげる働きがあります。

また、中枢神経の痛みをおさえる経路に働いて、痛みをやわらげる働きがあります。

そのため、糖尿病や線維筋痛症による痛み、腰や関節の痛みなどをやわらげる薬としても使われています。

副作用としては、悪心・嘔吐、下痢、倦怠感、眠気、頭痛、めまい、口渇、便秘、尿閉、CK上昇があります。

用法は、1日1回朝食後に口から服用します。

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

リフレックス(ミルタザピン錠)

リフレックスは、うつ病に対して処方する薬です。

ゆううつな気持ちや、不安やイライラ、やる気がなくなるなどのこころの症状や、食欲がなくなる、眠れないなどの体の症状を改善するお薬です。

脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニン)の量を増やすことにより、ゆううつな気持ちや落ち込んでいる気分をやわらげる働きがあります。

他の抗うつ薬と比べて睡眠や食欲への作用が強いため、不眠や食欲不振の症状が強い方に使うことが多いです。

副作用としては、眠気、体重増加、倦怠感、浮動性めまい、頭痛、便秘、口渇、紅斑、肝障害があります。

用法は、1日1回就寝前に口から服用します。

その他

ドグマチール(スルピリド細粒)

ドグマチールは、慢性胃炎、適応障害、双極性感情障害(躁うつ病)、統合失調症に対して処方される薬です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの治療でも使われます。

胃腸の血液の流れを増やし、粘膜を修復するとともに胃腸の運動をよくする働きがあります。強い不安や緊張感をやわらげ、心の病気で起きる幻覚、妄想などをおさえます。

不安や緊張などの精神の不安定な状態をおさえる働きがあります。

副作用としては、月経異常、乳汁分泌、女性化乳房、錐体外路症状(歩行障害、筋強剛、嚥下障害など)、肝障害、ジストニア、ジスキネジア、高プロラクチン血症、掻痒感があります。

用法は、症状に応じて1日に2〜3回に分けて口から服用します。

ビプレッソ(クエチアピンフマル酸塩徐放錠)

ビプレッソは、双極性感情障害(躁うつ病)、統合失調症に対して処方される薬です。

脳内の神経伝達物質の働きをよくし、ゆううつで落ち込んだ気分、意欲や行動の低下している状態を改善します。

気分が晴々しないゆううつな気持ちや不安をやわらげる作用があります。

脳内の神経伝達物質の働きをよくし、ゆううつで落ち込んだ気分、意欲や行動の低下している状態を改善する働きがあります。

副作用は、口渇、倦怠感、傾眠、便秘、めまい、頭痛、アカシジア、食欲亢進、高プロラクチン血症、口内乾燥、体重増加があります。

用法は、1日1回就寝前とし、食後2時間以上あけて口から服用します。また、2日以上の間隔をあけて状態を観察しながら服用します。

漢方薬について

当院では、西洋薬だけでなく漢方薬を使用することもあります。

当院でも処方される代表的な漢方薬について御説明します。詳しくは受診時に相談ください。

主に不眠・不安に対して使う漢方薬

  • 酸棗仁湯
  • 加味逍遙散
  • 抑肝散
  • 半夏厚朴湯

便秘に対して使う漢方薬

  • 麻子仁丸
  • 大建中湯
  • 六君子湯

むくみ・肥満に対して使う漢方薬

  • 防風通聖散
  • 当帰芍薬散
  • 補中益気湯
  • 五苓散

最後に

どんな薬も、他の病気や症状に悪影響を及ぼすこともあります。

飲み合わせと他の病気や症状に関して気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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