- 女性のうつ病とは
- 女性のうつ病の種類
- 女性のうつ病のきっかけとなるライフイベント
- 女性のうつ病のセルフチェック(初期症状)
- 女性のうつ病の検査・診断
- 女性のうつ病の治療法
- 女性のうつ病の受診のタイミング
女性のうつ病とは
女性は、女性ホルモンの変動(エストロゲンの減少)やライフイベントの影響も受け、うつ病になりやすいとされています。特に、月経前や出産後、更年期に影響を受けやすく、月経前不快気分障害(PMDD)や産後うつ、更年期うつなど、女性には特有のうつ病が存在します。女性自身がうつ病のリスクを認識するとともに、つらいと感じたときに早めに精神科・心療内科に相談することが重要です。
女性ホルモンの基礎知識
女性の体内で大きな役割を果たすホルモンには、主にエストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)は、主に卵胞期~排卵期にかけて分泌量が増え、女性らしい体の形成や肌や骨の健康維持に大きく関与。
一方、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵後の黄体期に多く分泌され、子宮内膜を妊娠に適した状態に保つなどの役割を担います。
生理周期の各フェーズで両者の分泌量が変化するため、このバランスが崩れると気分や体調に影響が出やすくなります。
ホルモン変動とメンタルヘルスの関係
エストロゲンやプロゲステロンは、脳内の神経伝達物質の働きにも影響を与えます。
例えば、エストロゲンは「セロトニン」や「ドーパミン」といった気分や感情を調整する物質の分泌や受容をサポートするといわれています。
このため、ホルモンバランスが乱れると、セロトニンやドーパミンなどの働きが十分に機能せず、気分の落ち込みやイライラ感を感じやすくなる可能性が高まります。
また、ストレスや生活習慣の乱れがあると、自律神経やホルモン分泌にさらに負担がかかり、悪循環に陥ることも少なくありません。
女性のうつ病の種類
月経前不快気分障害(PMDD)
PMDDは生理前に起こる重度の気分変動を特徴とします。イライラ、不安、落ち込みなどの精神症状や、乳房の痛みなどの身体症状が現れます。症状は生理開始後数日で改善します。原因は女性ホルモンの変動と考えられており、セロトニンの低下が関与しています。治療にはSSRIが第一選択薬として用いられ、症状に応じて睡眠薬や鎮痛薬が併用されることもあります。
月経前不快気分障害(PMDD)と月経前症候群(PMS)の違い
PMDDはPMSの重症型で、主に精神症状が顕著に現れます。PMDDでは、著しい感情の不安定性、イライラ、抑うつ気分、不安などの症状が強く、日常生活に重大な支障をきたします。一方、PMSは身体症状と精神症状の両方が現れますが、PMDDほど重度ではありません。PMDDの発症頻度は月経のある女性でPMSより低く、より厳密な診断基準があります。両者とも月経開始とともに症状が改善しますが、PMDDはより専門的な治療が必要となる場合があります。
産後うつ病
産後うつ病は出産後数週間から数か月の間に発症します。極度の疲労感、睡眠障害、頭痛、性欲低下、不安発作などの症状が現れます。過去にうつ病の既往がある場合、発症リスクが高くなります。症状が2週間以上続く場合や、自傷他害の思考がある場合は医療機関の受診が必要です。治療には精神療法と抗うつ薬の併用が推奨されます。
更年期うつ
更年期うつは更年期における抑うつ症状やうつ病を指します。身体症状(ほてり、発汗、倦怠感など)と精神症状(イライラ、抑うつ、不安など)が複合的に現れます。自律神経症状も多く、症状は日内変動を伴うことがあります。更年期症状は家族関係や人生の変化のタイミングとも関連していると考えられています。治療には、症状に応じた薬物療法や心理療法が行われます。
女性のうつ病のきっかけとなる
ライフイベント
女性のライフイベントでうつ病のきっかけとなりやすいものには以下があります。
- 結婚
- 妊娠
- 出産
- 育児
- 更年期
- 介護
- 仕事の異動
- 引っ越し
- 子どもの独立
- パートナーとの関係性の変化
- 働き方の変化(結婚や出産を機に)
- 家族構成の変化
- 親の介護
- 閉経
- キャリアの変化
- 身体的な健康状態の変化
- 経済状況の変化
- 友人関係の変化
- 社会的役割の変化
失恋や浮気が原因でうつ病になることもある?
女性のうつ病は失恋や浮気が原因となることがあります。失恋や浮気は、年齢に関わらず大きな精神的ダメージを与え、恋愛関係は家族関係や友人関係よりもうつ病の誘発に強い影響を与えることが分かっています。特に、気持ちを理解してくれない恋人との関係は、うつ病発症率を高めるとされています。失恋うつ病の特徴として、強い虚しさや過去への執着、自信喪失などが挙げられます。症状が長期化し、仕事や日常生活に支障が出る場合は、専門医による治療が必要です。失恋や浮気によるうつ病は、若年層だけでなく幅広い年代で見られる現象であり、深刻な場合は自殺のリスクも高まるため、適切な治療を受けましょう。
女性のうつ病のセルフチェック
(初期症状)
女性のうつ病の症状(初期症状)には以下のようなものがあります。
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- 何事も楽しめない・興味が持てない
- イライラしやすくなる
- 涙もろくなる、泣きたくなる
- 睡眠障害(不眠や過眠)
- 食欲の変化(低下または増加)
- 疲れやすさ、だるさが続く
- 集中力の低下
- 仕事や家事でのミスが増える
- 決断力の低下
- 自己評価の低下、自分を責める
- 死にたいと考える
- 朝方の気分や体調が特に悪い
- 頭痛や肩こりなどの身体症状
- 動悸や息切れ
- のどのつまり感
- めまい感
- 便秘や下痢
- 性欲の低下
- 外出をおっくうに感じる
- 人と会うことを避ける
- 思考や動きが遅くなる
- 吐き気
- 体重の変化(減少または増加)
これらの症状が複数現れ、2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。早めに当クリニックまでご相談ください。当クリニックには、女性医師も在籍していますので、女性医師による診療を受けていただくことも可能です。(ご予約時に女性医師を希望の旨、お伝えください。)
女性のうつ病の検査・診断
女性のうつ病の診断は、主にDSM-5に基づき行います。以下の症状のうち、「抑うつ気分」または「興味・喜びの喪失」を含む5つ以上が2週間以上続く場合、うつ病と診断します。
- 抑うつ気分
- 興味・喜びの喪失
- 食欲・体重の変化
- 睡眠障害(不眠や過眠)
- 精神運動の変化
- 疲労感・気分の低下
- 無価値観・罪悪感
- 思考力・集中力の低下
- 自殺念慮
女性のうつ病の治療法
薬物療法
抗うつ薬を用いた治療が一般的です。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が多く使用され、副作用が比較的少なく安全性が高いとされています。効果があらわれるまでに2週間から1か月程度かかり、寛解後も4〜9か月程度の継続服用が推奨されます。妊娠中や授乳期は注意が必要です。
認知行動療法
物事の捉え方や行動パターンの改善を図り、ストレス軽減を目指す心理療法です。薬物療法と併用することで、うつ症状の改善や再発防止に効果が期待できます。薬の効果が出るまでの期間や、妊娠・授乳中で薬の使用が制限される場合にも有効な治療法です。当クリニックでも、経験豊富な臨床心理士/公認心理師が在籍しています。必要に応じてご案内いたします。
対人関係療法
人間関係の問題に焦点を当てた心理療法で、コミュニケーションの取り方や感情のコントロールなどのスキルを高めます。対人トラブルがうつ病の原因となることもあるため、この療法は有効です。薬物療法と併用することで、気分の落ち込みを軽減しながら積極的に治療に取り組むことができます。
その他
磁気刺激治療(TMS)や電気けいれん療法などの身体的治療法も行われることがあります。また、エクササイズ、食生活の改善、ストレス軽減法の実践など、生活習慣の改善も症状軽減に効果的です。更年期うつの場合は、低用量ピルを用いたホルモン療法も選択肢の一つとなります。TMSなどの治療が必要な場合には、連携する医療機関をご紹介させていただきます。
セルフケアのポイント
PMSに明確な治療法はなく、症状とうまく付き合いながら乗り越えていくことが大切です。そのため、セルフケアによる対処が重要な鍵となります。自分の症状や周期を正しく理解し、生活習慣を調整することで、つらさを和らげたり予防したりできる可能性があります。
まずは症状を記録することから始めましょう。いつ、どのような不調がどれくらい現れるか日記やアプリに記録してみてください。こうした記録を続けると、「この不調はPMSのせいかもしれない」と自分で認識できるようになります。それだけでも不安が和らぎ、症状が軽く感じられる場合もあります。自分のリズムを把握することで心構えができ、適切な対策もしやすくなるでしょう。
セルフケアでは、「我慢せず自分をいたわる」姿勢が基本です。PMSの時期は無理をしすぎず、普段よりも意識的に休息やリラックスの時間を確保しましょう。次の章から、具体的なセルフケア方法を見ていきます。
科学的根拠に基づくセルフケア方法
PMS症状を和らげるには、いくつかの方法が研究で効果を認められています。以下では、食事・栄養、運動、睡眠、ストレス管理といった面から、取り入れやすいセルフケア方法を説明します。
食事の見直し
バランスの良い食生活を心がけましょう。特に複合炭水化物(食物繊維の多い穀類や野菜)を積極的に取り、血糖値の乱高下を防ぐことがすすめられています。玄米や全粒粉のパン、野菜や果物などを意識的に摂り、甘いお菓子や清涼飲料水など精製された糖質は控えめにします。カルシウム、マグネシウム、ビタミンB6、亜鉛などのミネラルやビタミンを十分に摂取すると症状緩和に役立つと言われています。
例えばカルシウムは乳製品や小魚、緑黄色野菜に多く含まれ、ビタミンB6はマグロ・カツオなどの魚やレバー類に豊富です。一方でカフェインやアルコールの過剰摂取は症状を悪化させることがあるため、生理前はコーヒーやお酒を控えめにするのがおすすめです。塩分の摂りすぎもむくみを助長するので注意しましょう。
栄養バランスの取れた食事はホルモンバランスの安定にもつながり、PMS対策の基本になります。
適度な運動
無理のない範囲で体を動かす習慣を持つと、PMSの症状軽減に効果があります。軽いジョギングやウォーキング、ヨガ、ストレッチなど、息が弾む程度の有酸素運動を週に3~5日、1日30分ほど行ってみましょう。運動によって気分を落ち着ける脳内物質が分泌され、ストレスや不安感が和らぐと考えられています。
また、運動習慣のある女性は、運動をしない女性に比べて胸の張り、むくみ、ストレス、不安、抑うつなどの症状が軽い傾向があると報告されています。生理前はどうしても憂うつになりがちですが、軽く体を動かすと気分転換になり、イライラの発散にも効果的です。特に日中の運動は夜の睡眠の質向上にもつながります。
十分な睡眠と休養
睡眠不足はPMSの情緒不安定や疲労感を悪化させる要因です。生理前は普段以上にしっかり睡眠時間を確保し、体を休めましょう。理想的には毎日7~8時間の質の良い睡眠を心がけ、寝る時間と起きる時間を一定に保つと体内リズムが整います。しっかり眠れていれば日中のイライラ感も減り、気持ちの安定に役立ちます。
就寝前にスマホを長時間見たりカフェインを摂ったりするのは避け、リラックスできる環境作りを意識しましょう。どうしても眠れない夜は、無理に眠ろうとせずストレッチや深呼吸で体を緩めてみてください。
ストレス管理とリラックス法
生理前はストレス耐性が落ちるため、意識的なリラックスが大切です。リラックス法としては、深呼吸や瞑想(マインドフルネス)、ヨガ、ストレッチ、お風呂で体を温める、好きな音楽を聴くといった方法がおすすめです。腹式呼吸や軽いヨガを行うと副交感神経が優位になり、緊張や不安を和らげる効果があります。
またアロマセラピー(芳香療法)も試す価値があります。例えばラベンダーや柑橘系の精油の香りはリラックス効果が高く、不安やイライラを鎮めるのに有用です。日本の女子学生を対象とした小規模試験では、アロマセラピーによって心が落ち着きPMSの精神症状が緩和されたという結果も報告されています。お気に入りの香りのハーブティー(カモミールやペパーミントなど)を飲んで一息つくのもよいでしょう。
ストレスを溜め込みすぎないよう、自分なりのリラックス方法を見つけてください。以上のようなセルフケアは、いずれも今日から始めやすい基本対策です。特別な道具やお金を必要とせず、生活習慣を少し整えるだけで効果が期待できます。まずはできる範囲で取り入れ、継続することが大切です。
ハーブやサプリメントなどの補助療法
セルフケアの中には、ハーブ(薬草)やサプリメントを活用した補助療法もあります。自然由来の成分で症状を和らげたいと考える方も多いでしょう。ただし、効果には個人差があり、摂り方によっては副作用や注意点もあります。ここでは有名なものをいくつか紹介します。
カルシウム
カルシウムはPMS症状全般の改善に有効とされ、多くの研究で確認されています。1日あたり1000〜1200mg程度を十分に摂取することで、気分の浮き沈みや腹部の膨満感など幅広い症状が和らぐ可能性があります。日本人女性はカルシウム摂取量が不足しがちなので、意識して牛乳・乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、小魚、緑黄色野菜を摂り、必要に応じてサプリで補うと良いでしょう。
ただしサプリで一度に摂りすぎると消化不良を起こすこともあるため、数回に分けて摂取するか食事と一緒に摂るようにしてください。
ビタミンB6
ビタミンB6(ピリドキシン)は神経伝達物質の代謝に関与し、不足すると気分症状が悪化しやすいと言われています。研究によると、ビタミンB6補給によりPMS症状が緩和された例がいくつか報告されています。ビタミンB6はマグロ・カツオなどの赤身魚、レバー、肉類、バナナなどに多く含まれます。
普段の食事で不足しがちな場合はサプリメント(1日あたり50~100mg程度)を利用してもよいでしょう。ただし100mgを超える高用量を長期間摂取すると末梢神経障害など副作用のリスクがあるため注意が必要です。適量を守り、心配な場合は医師や薬剤師に相談してください。
マグネシウム
マグネシウムもPMS緩和に有用とされ、むくみや乳房の張り、頭痛などの軽減効果が報告されています。ある研究では1日300~400mgのマグネシウムを摂取することで、これら身体症状が和らいだという結果もあります。マグネシウムは海藻類、ナッツ類、全粒穀物、緑黄色野菜に多く含まれます。
不足が気になる場合はサプリメントで補充しても構いませんが、摂りすぎると下痢や血圧低下を招く恐れがあるため、摂取量には注意しましょう。
チェストベリー(チェストツリー)
西洋ニンジンボクとも呼ばれるハーブで、古くからヨーロッパで月経前の不調に用いられてきました。チェストベリーの果実から抽出したエキスはホルモンバランスを調整し、PMSの乳房痛、頭痛、イライラなどを軽減する効果があるとの研究があります。欧州ではサプリメントや医薬品として広く使われています。
日本でもチェストベリー乾燥エキスを有効成分とする市販薬が登場しており、手軽に試すことができます。比較的副作用は少ないハーブですが、まれに胃腸症状が出たり、ホルモンに影響を与えるため妊娠中・授乳中の利用は避けるべきです。またピルなどホルモン剤を服用中の場合は念のため医師に相談してください。
イブニングプリムローズ油(月見草オイル)
月見草の種子に含まれるγリノレン酸という必須脂肪酸のオイルで、PMSの乳房の痛みや張り、うつ傾向、むくみに効果があるとされています。1日あたり500~1000mg程度を摂取する方法が一般的です。ただし、血液をサラサラにする作用があるため抗凝固薬を飲んでいる人は注意が必要であり、ごくまれに頭痛や吐き気など副作用が報告されています。
効果の感じ方にも個人差が大きいので、体質に合えば取り入れてみるというスタンスが良いでしょう。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
うつ症状の緩和で知られるハーブで、PMSでも気分の落ち込みや不安が強い場合に用いられることがあります。ただし、このハーブは他の薬との相互作用が非常に多い(特に経口避妊薬の効果を弱める)ため注意が必要です。使用する場合は必ず医師や薬剤師に相談し、併用禁忌に当たる薬がないか確認しましょう。日光に当たると皮膚に発疹が出る光過敏症の副作用が出ることもあります。
この他にも、ギンコ(イチョウ葉)やターメリック(ウコンに含まれるクルクミン)、ビタミンD、ビタミンEなどがPMS改善に有用とする説もあります。ただし、それらの効果については研究によって結論が異なる場合もあるため、まずは基本的なセルフケアに取り組むことが大切です。漢方薬では当帰芍薬散や加味逍遙散などがPMSの体質改善に処方されることがあります。
ハーブやサプリメントは「自然だから安全」というわけではなく、人によっては副作用が出たり薬と相互作用する場合もあります。サプリメントは医薬品と異なり規制が緩いため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことも大切です。基本的には用法用量を守り、心配なときは専門家に相談しながら取り入れてください。これらの補助療法は、あくまで生活習慣の改善を補う選択肢です。まずは前述の基本的なセルフケアをしっかり行い、どうしても足りない部分をサプリなどで補うという位置付けで活用すると良いでしょう。
生活習慣を見直すポイント
セルフケアの効果を高めるには、日頃の生活習慣を整えることが欠かせません。以下に、PMS対策として見直したい生活習慣のポイントをまとめます。
規則正しい生活リズム
毎日できるだけ同じ時間に起床・就寝し、食事も一定のリズムでとるよう心がけましょう。生活リズムが乱れるとホルモンバランスも乱れやすくなります。特に睡眠不足や夜更かしは症状悪化のもとです。
栄養バランスの良い食事
食事はPMS症状に大きく影響します。炭水化物・タンパク質・脂質のバランスに加え、ビタミンやミネラルをまんべんなく摂取しましょう。ジャンクフードや甘い物、カフェイン飲料は控えめにし、野菜や果物、穀類をしっかりと。
適度な運動習慣
運動不足は血行不良を招き、むくみや倦怠感を悪化させることがあります。有酸素運動やストレッチなど、自分が心地よく続けられる運動を取り入れてください。運動はストレス発散にも効果的です。
ストレスを溜めない工夫
日常生活でストレスを感じたら、早めに発散・解消するようにしましょう。趣味の時間を持つ、リラックスできる入浴タイムを確保する、アロマやマッサージで癒やされるなど、自分に合った方法でリセット。
体を冷やさない
冷えは血行不良につながり、生理痛や不調を強めることがあります。特にお腹や腰まわりを冷やさないようにし、生理前は入浴でしっかり温まり血の巡りを良くしましょう。
タバコを控える
喫煙は女性ホルモンの代謝に影響を与え、PMS症状を悪化させる可能性があります。この機会に禁煙を検討してみるのも良いでしょう。
周囲の理解とサポート
自分ひとりで抱え込まず、信頼できる家族や友人にPMSであることを伝えてみましょう。職場や学校でも状況を共有すると配慮が得られ、心理的負担が軽減します。
予定の調整
どうしても調子が落ちやすい時期には、重要な予定を詰め込みすぎないことも大切です。生理前は大きなイベントを避けたり、家事を手抜きして自分をいたわる日を作るなど、無理をしすぎない工夫を心がけましょう。
これらのポイントを参考に、ぜひ一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう。日々の小さな心掛けの積み重ねが、PMS症状の改善につながっていきます。完璧を目指す必要はありませんので、できることから少しずつ取り入れてみてください。
女性のうつ病の受診のタイミング
セルフケアを続けてもなお日常生活に支障が出るほど症状が重い場合は、我慢せずに婦人科の医師に相談しましょう。例えば、以下のようなケースでは受診を検討してください。
感情コントロールが困難な場合
些細なことで怒鳴ってしまう、激しい抑うつ気分や不安に襲われて仕事や家事が手につかない、人間関係に重大な影響が出ている…など精神的症状が極度に強い場合。これはPMDDに該当する可能性があります。早めに専門家の助けを借りましょう。
自殺念慮や希死念慮がある場合
生理前になると「消えてしまいたい」と感じるなど、自傷衝動が出る場合は一刻も早く受診してください。
身体症状が重度の場合
腹痛や頭痛が痛み止めも効かないほど強い、めまいや吐き気で起き上がれない、職場や学校を何日も休まざるを得ない、といったときも医療機関での対応が望まれます。PMS以外の疾患が隠れている可能性もあるため、専門医の診察を受けましょう。
受診する科は婦人科で構いません。「生理前に毎月このような症状が出る」と伝えれば、多くの場合、医師はPMSやPMDDを念頭に置いて診察してくれます。症状日誌など記録があれば持参すると診断の助けになります。
婦人科では、症状に応じて様々な治療法を提案してもらえます。例えば低用量ピル(経口避妊薬)や黄体ホルモン剤で排卵を抑えてホルモン変動を安定させる治療、抗うつ薬が重いPMDDに有効とされています。症状や体質に合わせて漢方薬を処方してもらうことも可能です。
「薬に頼るのは抵抗がある…」という方もいるかもしれません。しかし、日常生活がままならないほど深刻なPMSであれば、遠慮なく専門家の力を借りてください。PMSはよくあることだからといって我慢する必要はありません。症状がつらいときは適切な治療で和らげ、普段の生活を取り戻すことが大切です。「自分で対処するのが難しい」「もっと早く楽になりたい」と感じたら、一人で悩まず婦人科の専門医に相談しましょう。
以上、10代から40代の女性に向けてPMSへのセルフケア方法を紹介しました。PMSは多くの女性にとって身近な問題ですが、適切なセルフケアと必要に応じた医療の力で必ず改善できます。自分の心と体の声に耳を傾け、無理せずケアを続けていけば、きっと症状と上手に付き合えるようになるでしょう。今日からできることを少しずつ取り入れ、毎月の憂うつな時期を少しでも快適に過ごせるよう応援しています。