手・指が震えるとは
手や指の震えは、振戦(しんせん)と呼ばれる症状で、無意識に筋肉が収縮と弛緩を繰り返す状態です。原因はさまざまで、ストレスや疲労、寒さなどの一時的なものから、パーキンソン病や本態性振戦などの疾患によるものまであります。震えの種類や発生状況によって原因が異なるため、持続する場合は医療機関での検査が推奨されます。
手が震えるのは自律神経の問題ですか?
手が震える原因として自律神経の問題が関与していることがあります。特に、ストレスや緊張が高まると自律神経系が活性化し、アドレナリンが過剰に分泌されます。このアドレナリンの影響で筋肉が緊張し、手が震えることがあります。また、睡眠不足も自律神経の乱れを引き起こし、震えを悪化させる要因となります。持続的な震えがある場合は、医療機関での診断が重要です。
手・指が震える原因(病気)
ストレスや疲労
過度のストレスや疲労により自律神経のバランスが乱れ、手や指の震えが生じることがあります。また、緊張状態や寒さなども一時的な震えの原因となります。これらの場合、原因が解消されれば震えも自然に治まることが多いです。
パーキンソン病
パーキンソン病は50歳頃から発症率が高くなる脳の病気です。特徴的な震えは1秒間に数回と規則正しく、じっとしているときに現れやすいです。手にあらわれることが多く、筋肉のこわばりや動作の緩慢化などの症状も伴います。
本態性振戦
本態性振戦は成人以降、年齢とともに発症率が高くなる遺伝性の病気です。交感神経の異常が関係していると考えられています。規則的な震えが手や手指に現れ、パーキンソン病と似ていますが、震え以外の症状はありません。ペンを持つと手が震えるのも、本態性振戦になります。
アルコール依存症
長期間の過度な飲酒により、アルコールが摂取できないときに手の震えが生じます。日本酒換算で1日3合以上を5年以上続けると、このような症状があらわれる可能性が高くなります。
バセドウ病
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。手足の震えの他、頻脈、発汗、眼球突出などの症状を伴います。甲状腺機能亢進症の代表的な疾患の1つです。
不安障害
過度の不安や緊張状態が続くことで、自律神経系のバランスが崩れ、手や指の震えが生じることがあります。特に社交不安障害や全般性不安障害では、人前に出たり緊張する場面で震えが顕著になることがあります。
うつ病
うつ病では、自律神経系の乱れにより、手や指の震えが症状としてあらわれることがあります。また、うつ病の治療に使用される一部の抗うつ薬の副作用として震えが生じる場合もあります。症状の改善とともに震えも軽減することが多いです。
社交不安障害
社交不安障害は、人前での行動や注目を浴びることに対する強い不安を特徴とします。この状態では、緊張が高まり、手や指が震えることがよく見られます。特に発表や会話の場面で震えが顕著になり、日常生活に支障をきたすこともあります。治療には認知行動療法や抗不安薬が有効です。
強迫性障害
強迫性障害では、強迫観念や強迫行為によって生じる不安が手や指の震えを引き起こすことがあります。特に、特定の行動を繰り返す際に緊張感が増し、その結果として震えがあらわれることがあります。治療には認知行動療法や抗うつ薬が用いられます。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、トラウマ体験後に発生する症状で、不安や恐怖感から手や指が震えることがあります。特にトラウマを思い出す状況では、自律神経系が過剰に反応し、震えが生じることがあります。治療には心理療法や薬物療法が効果的です。なお、PTSDが疑われる場合、専門的な治療が必要ですので、連携する医療機関をご紹介させていただきます。
手・指が震えるときの対処法
深呼吸を行う
手の震えが起きた際には、まず深呼吸を試みることが効果的です。深呼吸は自律神経のバランスを整え、リラックスを促す作用があります。具体的には、「4秒かけて息を吸い込み、4秒かけて吐き出す」ことを意識しましょう。この方法は、脳に酸素を供給し、心身の緊張を和らげるのに役立ちます。ただし、持続的な震えがある場合は医師に相談することが重要です。
ストレス管理
ストレスを軽減することは手の震えの予防に繋がります。ヨガや瞑想、趣味に没頭することでリラックスした時間を持つことが大切です。また、適度な運動もストレス解消に効果的です。日常的にストレスを感じる環境から少し距離を置く工夫も重要です。ストレス管理によって交感神経の過剰な活性化を抑えることができます。
十分な睡眠を確保
十分な睡眠時間を確保することも手の震えを防ぐためには欠かせません。睡眠不足は自律神経の乱れやストレスの増加に繋がり、結果として震えが生じる可能性があります。一般的には6〜8時間程度の睡眠が推奨されており、快適な寝室環境やリラックスした入浴習慣などで良質な睡眠を得る努力が重要です。
医療機関での相談
手の震えが持続する場合や日常生活に支障をきたす場合は、医療機関で相談することが重要です。手の震えには様々な原因が考えられ、パーキンソン病や甲状腺機能亢進症などの病気も関与している可能性があります。医師による適切な診断と治療法の提案を受けることで、症状の改善が期待できます。