パニック障害とは?原因・症状・治療法を解説

パニック障害とは

パニック障害は、突然の強い不安や恐怖感に襲われる病気です。この状態は、特に明確な危険や原因がない場面でも起こるため、日常生活に大きな支障をきたします。パニック発作と呼ばれる強い発作が特徴で、多くの場合、心臓発作や死の恐怖に似た感覚を伴います。
パニック障害は決して珍しい病気ではなく、適切な治療を受けることで改善が見込まれます。しかし、放置すると慢性的な不安症状や、広場恐怖と呼ばれる新たな問題を引き起こす可能性があるため、早期の対応が重要です。

キーワード

・パニック発作で死ぬことは決してない
・誰しも起こりうる疾患で、パニック発作はもともと人間が持っているアラート機能の誤作動
・抗うつ薬を内服した上で、不安の程度が低い状況から段階的に慣らして(段階てき暴露療法)
・お守りがわりの抗不安薬を財布に忍ばせる
・抗うつ薬が使えない人もいるので、必ず精神科専門医・指定医に相談すること

当院での治療の実際

・適応障害、うつ病や躁鬱病、身体疾患などのその他の疾患によるパニック発作を除外
・基本的には抗うつ薬(SSRI)を投与し、4週程度経ってから、段階的暴露療法を開始する
・症状が落ち着いてくるまでは、抗不安薬も併用する
・不安な状況に慣れるための暴露は、スモールステップ・ベイビーステップで本当に少しずつ行っていく
・構造化する必要がある場合は不安階層表を用いる

パニック障害の主な症状

パニック障害は、突然のパニック発作として現れます。以下のような身体的・精神的症状が典型的です。
• 心拍数の急激な増加(動悸)
• 激しい発汗
• 息切れや窒息感
• 胸の痛みや圧迫感
• めまいやふらつき
• 死の恐怖や失神の不安
• 現実感喪失(非現実感)
これらの症状は、突然現れて数分以内にピークに達します。発作が終わると、強い疲労感や再発への恐怖感が残ることがあります。

パニック障害の原因

パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が影響すると考えられています。
1. 遺伝的要因: 家族にパニック障害や不安障害を持つ人がいると、発症リスクが高くなります。
2. 脳内の神経伝達物質の異常: セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の化学物質のバランスが崩れることで、発症リスクが増加することが分かっています。
3. ストレスやトラウマ: 過去のトラウマや、極度のストレスを受けた経験が発作を引き起こすことがあります。
4. 身体的健康状態: 甲状腺機能亢進症や心臓疾患など、身体の病気が関連する場合もあります。

パニック障害の診断方法

パニック障害の診断には、精神科医や心療内科の診察が必要です。具体的には、以下のような診断基準に基づき判断されます。
• 繰り返し起こる予期しないパニック発作
• 発作後、再発の恐怖や行動の変化(例えば、発作を避けるために特定の場所や状況を避ける)が3ヶ月以上続くこと
その他、身体的な原因を排除するために、血液検査や心電図検査なども行われることがあります。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療は、主に薬物療法と心理療法(カウンセリング)が中心となります。
1. 薬物療法
• 抗不安薬: ベンゾジアゼピン系薬が短期間の症状緩和に使用されます。ただし、依存性があるため長期使用は避けるべきです。
• 抗うつ薬: SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、パニック障害の長期的な治療に効果的です。
2. 心理療法
• 認知行動療法(CBT): パニック発作を引き起こす不安や恐怖のパターンを変える手法です。CBTは、発作への過剰な反応を減少させ、恐怖心を和らげることを目的としています。
• 暴露療法: 苦手な状況や場所に徐々に慣れることで、発作を引き起こす刺激への恐怖感を和らげる治療法です。

生活習慣の改善

治療と並行して、生活習慣の見直しも重要です。以下のような方法で、症状を緩和することが期待できます。
• 定期的な運動: 軽い有酸素運動は、ストレスの軽減に効果的です。
• リラクゼーション法: 深呼吸や瞑想などのリラクゼーション技法は、不安や緊張感を軽減します。
• 規則正しい生活習慣: 睡眠不足や不規則な生活は、発作の引き金になることがあるため、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
• カフェインやアルコールの摂取制限: カフェインやアルコールは神経を刺激し、不安感を悪化させることがあります。

パニック障害の予防と対処法

パニック障害を予防するためには、ストレスをため込まない生活が重要です。適切なリラクゼーションや、周囲とのコミュニケーションを大切にすることで、発症リスクを低減できます。また、発作が起こった際は、以下の対処法を試してみてください。
1. 深呼吸をする: 呼吸が浅くなると、パニック感が強まります。ゆっくりと深く呼吸をし、気持ちを落ち着けましょう。
2. その場を離れない: パニック発作の最中は、その場から逃げ出したくなることがありますが、すぐに行動せず、少しの間その場に留まることで発作が収まることがあります。
3. ポジティブな自己対話: 「これはただの一時的な発作であり、すぐに収まる」というように、安心できる言葉を自分に言い聞かせてください。

まとめ

パニック障害は、突然の強い不安や恐怖を引き起こす病気ですが、適切な治療と対処法を知ることでコントロール可能です。もし、繰り返し発作を経験している場合は、早めに専門医に相談し、治療を開始しましょう。生活習慣の改善やリラクゼーション技法を取り入れながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. パニック障害は治りますか?
A1. パニック障害は治療により、症状をコントロールできるようになります。特に、薬物療法と認知行動療法の併用が効果的です。
Q2. パニック発作はどれくらい続きますか?
A2. パニック発作自体は通常10~30分程度で収まりますが、症状のピークは数分間続くことが一般的です。
Q3. パニック障害は誰にでも起こるのですか?
A3. パニック障害は、遺伝的要因やストレス、神経伝達物質の異常などにより引き起こされるため、誰にでも起こりうる可能性があります。

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