適応障害とは、耐えがたいストレスがかかって、心身のバランスを崩してしまった状態です。
もちろん、ストレスに対する反応として、いやだなと思ったり、落ち込んだり、イライラしたり等の感情や、不眠等の身体症状が出現することは当然かもしれません。
しかし、適応障害ではその症状の程度が強く、ストレスに関連して症状が出てきたりすることで日常がままならなくなったり、会社に行けなくなったりなどの生活や社会活動まで影響を及ぼしてしまうのです。
また、そのような落ち込みや不安の感情が、対象となるストレスに対して不釣り合いなほど強く出てしまうのが適応障害です。
本人も困り感が非常につよく、悩んでしまうのです。
適応障害の方はひとたび、ストレスやそのような落ち込み・不安のきっかけとなる場面から離れると、症状は改善されることもあり、また、その場面に近づくかもしれないと考えると、症状が悪く出て体調を崩してしまうこともあるのです。
このような経緯からも周りから、怠けているのでは?、さぼりではないのか?などと、言われてしまうこともあり、本人もどうしてここまで症状の変化が出てしまうのかと自信を無くしてしまうこともあります。
そのため、周りの人たちの基準でストレス判断をされて、気のせいだ、本当に悩んでいるのか?、そんなことでそこまで悩まなくても、、、などなどの指摘を受けてしまうことも少なくなく、適応障害の患者様自身は大いに傷ついてしまうこともあるのです。
適応障害の方は、体調を崩してしまう耐え難いストレスを前にすると、不安の感情が優勢に強く出る人もいれば、落ち込みの感情が強く出る人、不安と抑うつの気分が合わせて出てくる方などもいます。
適応障害の症状は一様ではありません。
また、比較的に倦怠感や過眠や過食などの症状も強く出やすく、そのような症状からも日常生活のリズムを崩しやすくなりやすいといわれています。
適応障害の治療としてはまずは、ストレス負荷の軽減を図ることが重要です。
例えば、職場で想定するのであれば、配置転換や、時短勤務だけではなく、心身ともに疲弊をしきって仕事にならない状態に陥ってしまっている場合には休職などの手続きをして、自宅療養をすることが望ましいです。
さらに倦怠感や抑うつ・不安症状が強い場合には、その症状のために日常生活にも大きな支障をきたしていることが多いので、抗うつ薬であるSSRIや、少量の抗不安薬を併用しながら、心身のバランスを整えるお手伝いをすることもあります。
そして、食事に出かける、ジムに出かける、買い物に出かける、電車に乗ってみるなど、他者と日常生活を共有する機会を増やしていきます。
社会生活などを想定したストレス負荷を徐々にかけていく事や、心理士やセラピーを通して訓練したり環境調整を行いながら、医師との通院加療を継続することも大切です。
ここで注意したいのは、体調を崩すきっかけとなったストレスを克服しようとしないということです。
ただ一つの強いストレスを克服しようとするのではなく、生活していく上でまずは必要とされる行為やストレス、克服できそうなストレスから徐々に取り組んで、できることを少しづつ増やしていきます。
それが、治療を進めていく意欲やご自身の自信の回復にもつながりますし、特に適応障害の治療をするうえで大切な考え方なのです。
適応障害は症状が強く続くと、うつ病に移行しやすい疾患です。
まずはぜひ一度、診療にお越しください。