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ストレスが原因で起こる病気

ストレスで病気になる?

ストレスは、心身に様々な影響を及ぼし、病気の原因となることがあります。慢性的なストレスは、心理的な問題だけでなく、身体的な疾患にも繋がります。例えば、ストレスが長引くと、頭痛や腹痛、消化器系の不調(過敏性腸症候群など)、高血圧、心疾患などが引き起こされることがあります。さらに、ストレスは免疫系を弱め、感染症にかかりやすくなる要因ともなります。また、うつ病や不安障害などの精神的健康問題もストレスによって悪化することが知られています。したがって、ストレスを適切に管理し、軽減することが健康維持において非常に重要です。


ストレスとは

ストレスとは、外部からの刺激に対する生体の反応を指します。もともとは物理学用語で、物体にかかる圧力による変形を意味していましたが、医学ではこの概念を応用し、環境や心理的要因が生体に与える影響を説明するために使われています。ストレスの原因となる要因は「ストレッサー」と呼ばれ、身体的、心理的、社会的なものが含まれます。ストレスは適度であれば適応を促す役割がありますが、過剰になると心身に悪影響を及ぼし、様々な健康問題を引き起こすことがあります。


ストレスの原因

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーは、騒音、振動、温度変化などの外的要因です。例えば、工事現場の騒音や不快な室内環境がストレスを引き起こすことがあります。また、気象の変化や急激な温度変化も身体に負担をかけ、ストレスを感じる原因となります。これらの刺激は、特に長時間続くと心身に悪影響を及ぼす可能性があります。

人間関係ストレッサー

人間関係に関連するストレッサーは、職場や家庭でのトラブルや対立から生じます。上司や同僚との摩擦、家族間の不和、友人との関係の悪化などが該当します。これらの人間関係のストレスは、心理的な負担を増大させ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。特に、自分の意見や感情を表現できない場合、ストレスが蓄積しやすくなります。

社会的ストレッサー

社会的ストレッサーには、仕事の負担や生活環境の変化が含まれます。過重労働や責任の重い役職、転職や引っ越しなどがストレスを引き起こす要因です。また、経済的な問題や社会的不安も大きな影響を与えます。これらは精神的なプレッシャーとなり、心身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。

精神的ストレッサー

精神的ストレッサーは、失恋や家族の病気、大切な人との別れなどによる感情的な痛みから生じます。これらの出来事は深い悲しみや不安を引き起こし、精神的な健康に影響を与えることがあります。また、自分自身への期待やプレッシャーも精神的なストレスとなります。特に完璧主義や心配性な性格の人は、このようなストレスを強く感じる傾向があります。


ストレスが限界に達したときに生じる症状
(ストレスで起こる体の異変)

心の症状

  • 気分が落ち込む
  • イライラしたり、怒りっぽくなる
  • やる気が湧かない
  • 集中力や注意力が低下する
  • 本来楽しめるはずのことに興味を失う
  • 特別な理由もないのに悲しさを感じる
  • 「どうせうまくいかない」と思い込む
  • 同じことや悪い結果ばかりを考える、または何も考えられなくなる
  • 重要な判断を下すことができず、避けたくなる
  • 自分に価値がないと感じる
  • 自分を責める気持ちが強まる

身体の症状

  • 眠れない、または深い眠りに入れない
  • 寝すぎてしまうことがある
  • 食欲が減少する、あるいは過食に走る
  • 全身に倦怠感や疲労を感じる
  • 頭痛やめまいがする
  • 肩や腰に痛みを感じる
  • 動悸や息切れを経験する
  • 腹痛や便秘、下痢が続く
  • 突然涙がこぼれる、または涙が止まらない

ストレスで
頭痛・肩こりになることもある?

ストレスを感じると筋肉が緊張しやすくなり、特に首や肩まわりの血流が悪くなります。
これにより緊張型頭痛や肩こりが起こりやすくなるのです。
デスクワークが多い方や姿勢が悪い方は、ストレスの影響をさらに受けやすいため、意識的なストレッチや姿勢改善が重要です。


ストレスで
免疫力低下・肌荒れになることもある?

ストレスにより過度なコルチゾール分泌が続くと免疫力が低下し、風邪や感染症にかかりやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりすることがあります。
また、肌トラブル(ニキビ・湿疹・かゆみなど)もストレスによる血行不良やホルモンバランスの乱れで起こりやすくなり、美容面でも大きなダメージを受けやすいと言えるでしょう。


ストレスで
下痢が続くこともある?

ストレスで下痢が続くこともあります。ストレスは自律神経に影響を与え、腸の動きに異常を引き起こすことがあります。特に、ストレスを感じると腸の収縮が激しくなり、食物が腸内を速く通過するため、水分が十分に吸収されずに下痢が生じます。この状態は「機能性下痢」と呼ばれ、過敏性腸症候群(IBS)の一症状としてあらわれることもあります。
ストレスによる下痢は、検査を行っても消化管に炎症や潰瘍などの異常が見られないため、心身のケアが重要です。ストレスを軽減し、規則正しい生活を心掛けることで、自律神経のバランスを整えることが大切です。


ストレスで
喉が詰まる感じがある?

ストレスが原因で喉が詰まる感じを感じることがあります。これは「咽喉頭異常感症」または「ヒステリー球」と呼ばれる状態で、主に心理的なストレスや不安が影響しています。この症状は、喉に何かが詰まっているような感覚や圧迫感を伴い、食べ物を飲み込む際に不快感を引き起こすことがあります。
ストレスが高まると、自律神経のバランスが崩れ、喉の感覚神経に異常な信号が送られることが原因とされています。また、ストレスによって免疫力が低下し、逆流性食道炎などの他の病気も関連することがあります。


ストレスが引き起こす病気

うつ病

慢性的な気分の落ち込み、意欲や関心の低下、食欲不振・過食、睡眠障害、集中力の低下などの症状が現れます。ストレスが主な原因の1つとされ、環境から離れるだけでは改善しません。専門医による適切な治療が必要です。

うつ病

自律神経失調症

自律神経のバランスが崩れることで、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ、多汗、倦怠感、動悸、不安感などの多様な症状が現れます。ストレスの他、不規則な生活や更年期障害なども原因となります。

自律神経失調症

胃・十二指腸潰瘍

ストレスにより交感神経が優位になると、胃酸が過剰に分泌され、胃や十二指腸の内壁に潰瘍が形成されたり悪化したりします。腹痛や消化不良などの症状が現れ、重症化すると出血や穿孔のリスクがあります。

過敏性腸症候群

腸の機能障害により腹痛や便通異常などの症状があらわれる疾患です。ストレスが腸の運動性や腸内細菌のバランスに影響を与え、症状を悪化させると考えられています。症状の程度は個人差が大きく、生活の質に影響を及ぼすことがあります。

気管支喘息

慢性的な気道の炎症により、咳やたん、息苦しさなどの症状が現れます。ストレスを感じると気道の炎症が悪化したり、気道の平滑筋が収縮したりして、喘息発作を引き起こす可能性があります。適切な治療と生活管理が重要です。

アトピー性皮膚炎

遺伝的要因や免疫系の異常によって引き起こされる慢性的な皮膚疾患です。ストレスはアトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを悪化させると言われています。症状のコントロールには、ストレス管理も含めた総合的なアプローチが必要です。

不安障害・パニック障害

過度の不安や恐怖を感じ、日常生活に支障をきたす状態です。パニック障害では、突然の激しい不安発作が起こります。ストレスが引き金となることが多く、動悸、発汗、めまい、呼吸困難などの身体症状を伴います。適切な治療と対処法の習得が重要です。

パニック障害

摂食障害

食行動の異常を特徴とする精神疾患で、拒食症と過食症に大別されます。ストレスや心理的要因が大きく関与し、極端な食事制限や過食と排出行為を繰り返します。身体的にも精神的にも深刻な影響を及ぼすため、専門的な治療が必要です。なお、当クリニックでは、摂食障害が疑われる場合、専門的な治療のできる医療機関をご紹介させていただきます。

円形脱毛症

突然、円形や楕円形の脱毛斑があらわれる自己免疫疾患です。遺伝的要因や免疫系の異常が背景にありますが、ストレスが発症や悪化のきっかけとなることがあります。多くの場合は自然に回復しますが、長期化する場合は専門医の診察を受けることが推奨されます。

過換気症候群

ストレスや不安によって呼吸が速くなり、体内の二酸化炭素濃度が低下することで起こります。めまい、しびれ、動悸、胸痛などの症状が現れ、パニック発作と間違われることもあります。呼吸法の習得やストレス管理が重要な対処法となります。


ストレスが原因で発熱?
心因性発熱について

心因性発熱は、主にストレスが原因で起こる体温上昇のことです。機能性高体温症とも呼ばれ、通常の発熱と異なり解熱剤が効きません。急性または慢性的なストレス状況下で発症し、その人の平熱以上に体温が上昇します。風邪などの症状がなく、特定の状況や誘因で体温が上がる場合に疑われます。治療には生活指導や環境調整が重要で、自律神経を整えることが必要です。


ストレスとの上手な付き合い方

セルフモニタリング

自分の心身の状態を客観的に観察し、ストレスの兆候を早期に発見することが重要です。睡眠、食欲、気分の変化などに注意を払い、自分のストレス反応のパターンを把握しましょう。定期的に自己チェックを行うことで、ストレスが蓄積する前に対処することができます。

リラックス法の実践

呼吸法、瞑想、自律訓練法などのリラクセーション技法を日常的に取り入れることで、心身の緊張を緩和できます。特に、深呼吸は簡単にできるストレス解消法です。職場でも、小休憩を取ってストレッチや深呼吸を行うことで、気分転換を図ることができます。

適度な運動

定期的な運動は、ストレス解消に効果的です。ウォーキング、ジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を見つけ、継続的に実践しましょう。運動は身体的な健康だけでなく、精神的なリフレッシュにもつながり、ストレス耐性を高める効果があります。

ポジティブ思考の養成

ストレスの原因となる出来事に対して、前向きな捉え方をする努力をしましょう。例えば、困難な仕事を「自己成長の機会」と捉え直すことで、ストレスを軽減できます。自己肯定感を高め、感謝の気持ちを持つことも、ストレスへの耐性を強化する助けとなります。

社会的サポートの活用

信頼できる友人や家族との交流は、ストレス軽減に重要な役割を果たします。悩みを共有したり、助言を求めたりすることで、精神的な負担を軽くすることができます。職場でも、同僚や上司とのコミュニケーションを大切にし、必要に応じて相談することが有効です。