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ADHD治療薬

ADHD治療薬とは

中枢神経非刺激薬と中枢神経刺激薬に大別されます。中枢神経刺激薬は即効性がありますが、2019年12月1日から登録制になりました。当クリニックでは非刺激性のものから開始することを推奨しています。当クリニックで注意欠如多動症(ADHD)に対して処方する幾つかのお薬について説明します。

注意欠如・多動性障害
(ADHD)

中枢神経刺激薬

中枢神経刺激薬は、ADHDの治療において最も一般的に使用される薬剤です。脳内のドーパミンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、これらの神経伝達物質の濃度を増加させることで、注意力や集中力を向上させます。代表的な薬剤には、コンサータ(メチルフェニデート)やビバンセ(リスデキサンフェタミン)があり、即効性があり、効果が持続する時間も長いことが特徴です。コンサータは約12時間の効果を持ち、ビバンセは特に強力な効果が期待されますが、副作用として不眠や食欲減退、心拍数上昇などが見られることがあります。

中枢神経非刺激薬

中枢神経非刺激薬は、ADHDの治療において別のアプローチを取ります。主にノルアドレナリンの再取り込みを阻害することによって効果を発揮します。代表的なものにはストラテラ(アトモキセチン)やインチュニブ(グアンファシン)があり、比較的穏やかな作用を持ちます。ストラテラは24時間効果が持続し、不注意や多動性、衝動性に対して効果がありますが、その効果があらわれるまでには数週間かかることがあります。インチュニブも同様に多動性や衝動性に対して効果的であり、副作用としては眠気や頭痛などがあります。非刺激薬は刺激薬に比べて副作用が少ないため、特定の症状や患者さんの状況によって選択します。


中枢神経非刺激薬

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩液)

脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリン)を増やし、神経機能を活性化する働きがあります。注意力不足や衝動的な落ち着きのなさなどの症状を改善します。副作用としては、頭痛、食欲減退、傾眠、腹痛、悪心、口渇、嘔吐、便秘、浮動性眩暈、動悸、体重減少があります。1日1〜2回に分けて口から服用します。

インチュニブ(グアンファシン塩酸塩徐放錠)

脳の神経を活発にする働きがあります。注意力不足や衝動的な落ち着きのなさなどの症状を改善するお薬です。副作用としては、傾眠、頭痛、口渇、眩暈、不眠、便秘、倦怠感、起立性低血圧、血圧上昇、頻脈、洞性不整脈があります。1日1回口から服用します。


中枢神経刺激薬

コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)

脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)を増やし、神経機能を活性化する働きがあります。注意力不足や衝動的な落ち着きのなさなどの症状を改善するお薬です。副作用としては、食欲減退、不眠症、体重減少、頭痛、腹痛、悪心、チック、動悸、口渇、睡眠障害、鼻咽頭炎があります。1日1回朝に口から服用します。

コンサータ
(メチルフェニデート徐放剤)

ビバンセ(リスデキサンフェタミン)

経口投与可能な薬剤です。日本では2019年に製造販売が承認され、発売されました。ビバンセはプロドラッグであり、体内で活性成分であるd-アンフェタミンに変換されます。この変換により、血中濃度の急激な変化が抑えられ、持続的な効果が期待できます。主な作用機序は、d-アンフェタミンがドパミントランスポーター(DAT)およびノルアドレナリントランスポーター(NAT)を競合的に阻害し、シナプス間隙のドパミン(DA)とノルアドレナリン(NA)の濃度を増加させ、ADHDの症状改善が促進されると考えられています。副作用としては、食欲減退、頭痛、不眠などが一般的ですが、多くは軽度であり、長期使用でも大きな懸念は報告されていません。ただし、依存や乱用のリスクについては注意が必要です。


漢方薬

ADHD(注意欠陥多動性障害)の治療において、特に肝の機能を改善し、精神的なストレスを軽減することを目的としています。以下に代表的な漢方薬とその効果について説明します。

酸棗仁湯(サンソウニントウ)

酸棗仁湯は、注意欠如多動症(ADHD)の症状に対して有効とされる漢方薬の一つです。心を安定させる作用があり、不安や緊張を緩和する効果があります。具体的には、酸棗仁が主成分であり、神経を落ち着ける働きがあるため、特に不安や不眠に悩む子どもに適しています。研究では、酸棗仁湯がADHDの一部の症状を改善する可能性が示唆されており、精神疾患や情動記憶に関与するEgr-1の発現抑制にも寄与することも報告されています。

抑肝散(ヨクカンサン)

抑肝散は、主に子どもの夜泣きや成人のイライラ、不眠などに使用される漢方薬です。この処方は、精神的な興奮を抑える作用があり、自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の症状にも効果があるとされています。抑肝散はセロトニン神経系とグルタミン酸神経系を介して興奮を抑制するメカニズムが考えられており、特に過敏性や癇癪を持つ子どもに対して有効です。気持ちを落ち着ける効果があり、ADHDによる情緒不安定や集中力の欠如を改善する助けとなります。


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