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焦り・落ち着かない(焦燥感)

焦燥感とは

焦燥感は、落ち着かない、イライラする、そわそわするといった不快な精神状態を指します。しばしば不安や緊張、焦りを伴い、身体的には動悸や発汗、筋肉の緊張などの症状があらわれることがあります。ストレスや睡眠不足、うつ病などの精神疾患が原因となることが多く、日常生活や仕事に支障をきたす可能性があります。対処法としては、深呼吸やリラックス法の実践、十分な睡眠、運動などが効果的ですが、症状が持続する場合は専門医への相談が推奨されます。


焦燥感の原因

ストレス

日常生活における様々なプレッシャーや困難な状況が、焦燥感を引き起こす可能性があります。仕事や人間関係のストレス、経済的な問題、将来への不安などが蓄積すると、落ち着きのなさや苛立ちを感じやすくなります。

精神疾患

不安障害やうつ病などの精神疾患では、症状の1つとして焦燥感が見られることもあります。

睡眠不足

十分な睡眠が取れないことで、神経系のバランスが崩れ、焦燥感を引き起こす可能性があります。慢性的な睡眠不足は、イライラや集中力の低下、感情の不安定さに繋がります。

ホルモンバランスの乱れ

甲状腺機能亢進症や更年期障害などのホルモンバランスの乱れは、焦燥感を引き起こすことがあります。特に女性では月経前症候群(PMS)や更年期障害で焦燥感を感じやすくなります。


焦燥感が見られる精神疾患

うつ病

うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、焦燥感が強くあらわれることがあります。特に焦燥性うつ病と呼ばれる状態では、落ち着きのなさや不安感が顕著になります。集中力の低下や睡眠障害を伴うことも多く、日常生活に支障をきたす可能性があります。

うつ病

躁うつ病(双極性障害)

双極性障害の躁状態では、過度の活動性や焦燥感があらわれることがあります。思考が加速し、落ち着きがなくなり、衝動的な行動をとりやすくなります。うつ状態でも焦燥感を伴うことがあり、気分の波が激しいのが特徴です。

躁うつ病(双極性障害)

全般性不安障害

全般性不安障害では、過度の心配や不安が持続的に続き、それに伴って焦燥感が強く現れます。身体的には筋肉の緊張や動悸、発汗などの症状があらわれることがあります。日常生活の様々な場面で不安や心配が過剰になります。

パニック障害

パニック障害では、突然の強い不安や恐怖とともに焦燥感が現れます。動悸や呼吸困難、めまいなどの身体症状を伴うことが多く、予期不安から行動が制限されることもあります。発作の再発への恐れから、さらに焦燥感が強まることがあります。

パニック障害

適応障害

適応障害では、ストレスフルな出来事や環境の変化に適応できず、焦燥感や不安、抑うつ気分などが現れます。症状は通常3か月以内に改善しますが、その間は日常生活に支障をきたすことがあります。

適応障害

強迫性障害

不合理だと分かっていても繰り返し生じる強迫観念や強迫行為が特徴です。焦燥感は、強迫観念を抑えようとしたり、強迫行為を実行できない状況で強まります。不安や緊張、イライラ感を伴うことが多く、日常生活に支障をきたす可能性があります。

強迫性障害

摂食障害

拒食症や過食症などの摂食障害では、食事や体型に関する強い不安や焦りが生じます。食事制限や過食、嘔吐などの行動が、焦燥感と密接に関連しています。身体的・精神的な健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。なお、摂食障害が疑われる場合、専門的な治療が必要となりますので、適切な医療機関をご紹介させていただきます。

注意欠如多動症(ADHD)

ADHDの成人患者さんでは、集中力の欠如や衝動性、多動性に加えて、しばしば焦燥感を経験します。タスクの完了や時間管理の困難さが焦りを引き起こし、日常生活や対人関係に影響を与えることがあります。

注意欠如多動症(ADHD)

物質使用障害

アルコールや薬物の乱用や依存は、焦燥感を引き起こす可能性があります。特に離脱症状の一部としてあらわれることが多く、不安や落ち着きのなさ、イライラ感を伴います。長期的な使用は身体的・精神的健康に深刻な影響を与えます。


焦燥感が見られるときの対処法

深呼吸法

ゆっくりと深い呼吸を繰り返すことで、自律神経系のバランスを整え、心身をリラックスさせることができます。腹式呼吸を意識し、4秒間かけて吸い込み、4秒間止め、6秒間かけて吐き出すなどを試してみましょう。

運動

適度な運動は、ストレス解消やエンドルフィンの分泌促進に効果的です。ウォーキングやジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を選び、定期的に行うことで焦燥感を軽減できる可能性があります。

マインドフルネス瞑想

現在の瞬間に意識を集中させるマインドフルネス瞑想は、焦燥感や不安を和らげるのに役立ちます。座って呼吸に集中したり、ボディスキャンを行ったりすることで、心を落ち着かせることができます。

認知の再構築

焦燥感を引き起こす否定的な思考パターンを認識し、より現実的で建設的な考え方に置き換える練習をします。自分の思考を客観的に観察し、過度に悲観的な考えを修正することで、焦燥感を軽減できることがあります。

時間管理の改善

効果的な時間管理は焦燥感の軽減に役立ちます。優先順位を設定し、タスクを小さな単位に分割して取り組むことで、達成感を得やすくなります。また、適切な休憩時間を設けることも重要です。

リラクセーション技法の実践

プログレッシブ筋弛緩法やイメージ療法などのリラクセーション技法を定期的に実践することで、身体的な緊張を和らげ、心理的なストレスを軽減することができます。