自分が自分でない感じがする
(離人感)は病気ですか?
「自分が自分でない感じがする(離人感)」は、精神的な状態を表す症状であり、離人感・現実感消失症という病気に分類されます。この症状は、自分の身体や精神から切り離されたように感じるもので、強いストレスやトラウマ体験が引き金となることが多いです。離人感は単独で発生することもありますが、他の精神疾患(うつ病や不安障害など)の一部としてあらわれることもあります。持続的な症状がある場合は、専門医による診断と治療が必要です。
自分が自分でない感じがする
原因
強いストレス
強いストレスは離人感の主要な原因の1つです。特に、仕事や人間関係、経済的な問題などが重なることで、精神的な負担が増し、自分自身を外から観察しているような感覚が生じることがあります。この状態は、心が圧倒されることを防ぐための防衛機制としてあらわれることがあります。
トラウマ体験
小児期の虐待や重大な事故、ドメスティックバイオレンス(DV)などのトラウマ体験も離人感を引き起こす要因です。これらの経験によって心がショックを受け、自分を守るために現実から切り離される感覚が生まれることがあります。トラウマ後の症状として、離人感が持続的にあらわれることもあります。
精神疾患
うつ病や不安障害、外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患も離人感を引き起こすことがあります。これらの疾患では、自律神経のバランスが崩れ、自己認識や現実認識に影響を与えるため、離人感が生じやすくなります。治療には心理療法や薬物療法が効果的です。
薬物使用
特定の薬物、特に幻覚剤やマリファナなどは、離人感を引き起こすことがあります。これらの薬物は脳内の神経伝達物質に影響を与え、自己認識や現実感に変化をもたらすため、一時的に自分自身から切り離されたように感じることがあります。薬物使用後の症状は通常一時的ですが、長期的な使用は精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
自分が自分でない感じがする
ときに疑われる病気
離人感・現実感消失症
離人感・現実感消失症は、自分自身や周囲の現実から切り離されたように感じる状態を特徴とする精神疾患です。強いストレスやトラウマ体験によって引き起こされることが多く、持続的または反復的にあらわれることがあります。自分を外から観察しているような感覚や、周囲の世界が夢の中のように感じることがあります。
統合失調症
統合失調症は、現実認識の障害を伴う重篤な精神疾患で、離人感が症状の一部としてあらわれることがあります。自分の思考や行動が他者によって操られていると感じたり、自分自身が他者とは異なる存在であるかのように思ったりします。幻覚や妄想なども伴うため、早期の診断と治療が重要です。
うつ病
うつ病では、自己認識が低下し、自分が自分でないように感じることがあります。特に重度のうつ病では、感情の平坦化や自己評価の低下が見られ、自己を外から見るような感覚が生じることがあります。うつ症状が改善されることで軽減されることが多いです。
解離性障害
解離性障害は、ストレスやトラウマによって引き起こされる自己認識の障害であり、離人感が特徴的な症状として現れます。自分自身や周囲から切り離されたように感じ、記憶やアイデンティティに影響を及ぼすことがあります。治療には心理療法が効果的です。なお、解離性障害が疑われる場合、専門的な治療が必要ですので、連携する医療機関をご紹介させていただきます。
躁うつ病(双極性障害)
躁うつ病(双極性障害)では、躁状態やうつ状態の変動に伴い、自分が自分でない感じがすることがあります。特に躁状態では自己過信や現実感の喪失が生じやすく、自己のアイデンティティが不明瞭になることがあります。また、うつ状態では自己評価が低下し、自分自身を外から見ているような感覚が生じることもあります。このような離人感は、躁うつ病の症状の一部としてあらわれることがあります。
パニック障害
パニック障害では、パニック発作中に強い不安や恐怖を感じることが多く、その結果として離人感が生じることがあります。発作時には心拍数の増加や呼吸困難を伴い、身体的な感覚への過剰な注意が自己認識を歪め、自分が自分でないように感じることがあります。このような体験は、発作後に持続的な不安を引き起こし、さらなる離人感を助長することがあります。
自分が自分でない感じがする
ときの対処法
ストレスマネジメント
ストレスを適切に管理することは、離人感を軽減するために重要です。まず、自分が感じているストレスの原因を特定し、記録をつけることで傾向を把握します。その後、ストレスを引き起こす要因を取り除くか、感情や考え方を変化させる方法を模索します。リラクゼーション法や趣味の時間を持つことも有効です。ストレス管理によって心の安定を図ることが、離人感の改善に繋がります。
認知行動療法
認知行動療法は、思考パターンや行動を見直すことで気分を改善する治療法です。自分が感じている離人感について具体的に考え、その背後にある考え方や信念を探ります。これにより、非現実的な思考を修正し、より現実的な認識へと導くことができます。当クリニックでは臨床心理士/公認心理師が在籍しています。認知行動療法に対応していますので、ご相談ください。
専門家への相談
持続的な離人感や不安感がある場合は、専門家への相談が重要です。精神科医や臨床心理士/公認心理師と話すことで、自分の状況や感情について理解が深まり、適切な治療法が提案されます。また、必要に応じて薬物療法も検討することがあります。専門家との対話は、自己理解や症状改善への第一歩となります。自分が自分でない感じがする場合、お気軽に当クリニックまでご相談ください。