発達障害とは
発達障害は、脳の発達に関わる障害の総称です。主な種類には、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)があります。これらは生まれつきの特性で、成長とともにあらわれる症状や程度は個人差が大きいです。社会性やコミュニケーション、注意力、学習能力などに影響を与え、日常生活や学校、職場での困難に繋がることがあります。早期発見と適切な支援が重要で、個々の特性に合わせた対応により、その人らしい生活や成長を促すことができます。
※当クリニックでは、18歳以上の方を対象とした診療を行っています。子どもの頃、診断を受けていなくても、大学生、社会人になり生きづらい、他人と少し違う気がする(同じようにすることが難しい)、学業や仕事でミスが多い(多くの人ができることが上手くこなせない)など気になることがありましたらご相談ください。
発達障害と広汎性発達障害の違い
発達障害は、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)などを含む広範な概念です。一方、広汎性発達障害は、現在ではASDの一部として位置づけられています。ASDは社会性やコミュニケーション、興味の偏りに特徴がある障害で、以前は広汎性発達障害と呼ばれていました。現在の診断基準では、広汎性発達障害という用語は使用されず、ASDに統合されています。つまり、広汎性発達障害は発達障害の一部であり、現在はASDという概念に置き換えられています。
発達障害の種類
発達障害の主な種類には以下のものがあります。
学習障害(LD)
読み書きや計算など、特定の学習領域に困難を示す障害です。
発達障害の原因
発達障害の原因は多岐にわたりますが、主に遺伝的要因と環境的要因が関与しています。遺伝的要因としては、家族内に発達障害の人がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。特定の遺伝子の変異や異常が、脳の発達や神経伝達物質の機能に影響を与えることが研究で示されています。環境的要因には、妊娠中の母親の健康状態や生活環境が含まれます。妊娠中に感染症や栄養不足、薬物使用などがあった場合、胎児の脳に影響を及ぼし、発達障害のリスクを高める可能性があります。また、出生時の合併症や早産も関連しているとされています。さらに、社会的な要因や育成環境も影響を与えることがあります。ストレスの多い家庭環境や教育環境は、発達障害の症状を悪化させることがあります。これらの要因は相互に作用し合い、発達障害の発症に寄与するため、多角的な視点が必要です。
発達障害のセルフチェック
(初期症状)
自閉症スペクトラム(ASD)の症状
- 社会的相互作用の困難
- コミュニケーションの障害
- 繰り返し行動や興味の偏り
- 非言語的コミュニケーションの理解不足
- 感覚過敏または鈍感
注意欠如多動症(ADHD)の症状
- 注意力の欠如
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動的な行動
- 組織化や計画性の欠如
- 忘れっぽさ
学習障害(LD)の症状
- 読み書きや計算における困難
- 学校での成績不振
- 課題に対する苦手意識
- 学習スタイルの違いによる理解の遅れ
その他の共通症状
- 社会的スキルの不足
- 感情調整の困難
- ストレスや不安への過敏反応
- 自己管理能力の低下
これらの症状は、日常生活や学業、職場での適応に影響を及ぼすことがあります。早期の理解と支援が重要ですので、気になる症状がありましたら当クリニックまでご相談ください。
発達障害の検査・診断
発達障害の検査・診断では、まず詳細な問診を行い、発達歴や家族歴、現在の症状について確認します。幼少期からの行動や社会的相互作用を詳しくお伺いしていきます。
また、DSM-5に基づき自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)を確認していきます。
必要に応じて心理検査や他の精神疾患との鑑別を行います。
発達障害の治療法
認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、発達障害の症状管理に効果的です。特に、社会的スキルの向上、不安やうつ症状の軽減、問題行動の改善に役立ちます。思考パターンや行動を分析し、より適応的な対処方法を学びます。自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)に特に有効で、日常生活での困難を軽減し、自己効力感を高めることができます。
作業療法
作業療法は、日常生活や学校、職場での活動に必要なスキルを向上させることを目的としています。感覚統合療法を含むこともあり、感覚処理の問題に対処します。運動スキル、協調性、自己管理スキルの改善に効果があります。特に注意欠如多動症(ADHD)や自閉症スペクトラム(ASD)に有効です。
言語療法
言語療法は、コミュニケーション能力の向上を目指します。言語理解や表現、非言語コミュニケーションスキルの改善に焦点を当てます。特に自閉症スペクトラム(ASD)に効果的で、社会的相互作用の質を高めることができます。また、読み書きの困難にも対応し、学習障害(LD)にも有益です。なお、当クリニックでは、言語聴覚士が在籍していませんので、必要に応じて連携する医療機関をご紹介させていただきます。