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休職・復職は精神科医・産業医、誰に相談する?

働き方  / 精神科・心療内科

休職・復職のプロセスでは、精神科医(クリニックの主治医)と企業の産業医がそれぞれ重要な役割を担います。
本コラムでは、両者の法的・制度的な立場の違い、休職の判断基準や診断書の役割、産業医による復職判定のプロセス、さらに連携のあり方と企業・労働者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

当院の休職・復職に関する取り組み

当院では、下記日数・費用にて各種診断書の発行を行っています。
必要な診断書がありましたら、主治医もしくは受付スタッフまでお申し付けください。

文章作成費用

文書名 作成日数 費用(税抜)
疾病手当金書類 1週間程度 3割負担で300円
診療情報提供書(宛名あり)※1 1週間程度 3割負担で750円
当クリニック書式の診断書
(休職診断書、通院証明書など)
当日 4,000円
自立支援医療申請用診断書※2 1週間程度 5,000円
主治医意見書
(ハローワーク指定)
1週間程度 5,000円
就労可能証明書
(ハローワーク指定)
1週間程度 5,000円
生命保険会社書式診断書 1週間程度 10,000円
運転免許証用診断書 1種間程度 5,000円
会社書式の診断書 1週間程度 5,000円
精神保健福祉手帳申請用診断書 2週間程度 10,000円
障害年金申請用診断書 2週間程度 10,000円
その他   要相談

※1…当クリニックでは、宛名なしの診療情報提供書は発行していません。ご希望された場合は、診断書と同様の簡易な内容になります。
※2…他院発行の診断書に重度かつ継続の申請書類を作成する場合には、3,000円(税抜)頂戴します。

文書作成費用のご案内

文書作成の申込は、受付にて承っております。
申請書類、意見書、証明書、生命保険会社用診断書等、作成する文書により指定様式がございますので、ご依頼の際はあらかじめ申込予定の文書をご提示お願いします。
※文書作成は、医師の了承が必要となります。医師の判断の後、申込を受付いたします。
※文書お申込は、来院してのお申込みをお願いしております。
※ご家族さまのみ患者さん本人の情報開示同意書があれば代理申込み可能となります
※作成日数は目安であり、GW・夏季休暇・年末年始休暇等の長期休診時にはより長くなります。


精神科医(主治医)と産業医の法的・制度的な役割

精神科主治医の役割:医学的な就労可否の判断

精神科医(主治医)と産業医の法的・制度的な役割精神科主治医は、あなたの治療を担当する医師であり、医学的観点から一般就労が可能かどうかを判断する役割を担います。主治医は診察を通じて症状の改善状況を把握し、治療方針を決め、必要に応じて薬物療法などを行います。
職から復職が近づいた段階では、主治医が「復職可能」の診断書(意見書)を作成し、企業へ提出できる状態かどうか判断します。これは復職の必要条件となる重要な書類です。
ただし注意したいのは、主治医が職場の具体的な業務内容や勤務環境を詳しく把握しているわけではないという点です。診断書に「復職可能」と書かれていても、それだけで職場が求める業務を十分にこなせる状態かは分かりません。主治医の判断はあくまで医学的観点から「働いても大丈夫な状態になった」という一般的な許可と捉えると良いでしょう。そのため、主治医が復職を許可しても、実際の職場で働けるかどうかの詳細な確認は別途必要になります。

産業医の役割:業務適応の評価と職場環境の調整

産業医は、企業に選任されている労働者の健康管理を担う専門医です。
働く場で健康と仕事を両立できるかを評価し、必要な職場環境の調整について助言を行います。復職にあたっては、産業医が事前に面談を行い、あなたの心身の状態が職場の業務要求に耐えられるレベルまで回復しているかを詳しく確認します。
具体的には、現在の体調で元の業務を遂行できるか、集中力や作業ペースは十分か、といった点を面談や健康情報から評価します。その際、職場の作業環境や仕事内容も考慮に入れて意見を述べるのが産業医の特徴です。産業医は臨床医としての医学知識だけでなく、労働衛生の専門知識を持っているため、「健康状態と職場の要求とのバランス」を踏まえたアドバイスが可能になります。
また、産業医は復職後のフォローアップにおいても重要な役割を果たします。復職が決まった後も、定期的に面談を行って健康状態をモニタリングし、必要に応じて就業上の配慮事項について助言します。例えば、復職後しばらくして疲労が蓄積しやすくないか、ストレス症状が再び出ていないかなどを確認し、必要なら勤務時間や業務負荷の調整を会社に提案します。こうして産業医は企業と労働者の橋渡し役となり、適切な環境で働き続けられるよう継続的に支援するのです。


休職の判断基準と診断書の役割

休職の判断基準は医学的に見て「労働者が業務継続できない状態か」「就業が健康悪化につながるか」がポイントです。
精神科主治医は診察の結果、日常生活や就労に支障を来すほどの症状と判断した場合、休職を要する旨の診断書を発行します。
診断書には通常、傷病名症状初診日経過必要な休職期間などが記載され、主治医が医学的理由から一定期間就業不可としたことを証明する公的書類です。
企業側はこの診断書を受けて就業規則に基づき休職発令を行います。診断書提出があった場合、原則として翌日または指定された日から休職扱いとするのが通常です。産業医の判断や面談を待つ必要はなく、主治医の診断書に基づき速やかに休職させることが望ましいとされています。これは診断書提出後にも働かせ続け、万一事故や健康悪化が起きれば企業の安全配慮義務違反に問われる可能性があるためです。
休職期間の長さは症状や会社規定により様々ですが、最長6ヶ月〜1年など就業規則で定めている企業が多く、その範囲内で主治医の判断に応じ延長する形をとります。休職中の賃金は会社規定によりますが、健康保険の傷病手当金(最大18ヶ月)など社会的支援制度の利用も可能であり、労使双方が理解しておくべきポイントです。


産業医による復職判定のプロセス

復職(職場復帰)の最終判断は、企業(事業者)の意思決定ですが、その判断材料として産業医の意見が活用されます。
精神疾患で休業した労働者の復職支援は一般的に5つのステップに分かれ、特に「主治医の復職可判断」と「産業医の復職面談」が重要とガイドラインで示唆されています。

  • 従業員から復職希望の申出
  • 主治医による復職可能の診断書提出
  • 産業医による復職前面談(健康状態・業務遂行能力を評価)
  • 会社が復職可否を最終判断
  • 職場復帰支援プランに基づき段階的に就業開始

産業医は面談にて、本人の睡眠や生活リズム、通院状況、服薬状況などを確認し、職場で必要な業務遂行力が回復しているかをチェックします。たとえば「決まった時間に起床できているか」「日中に活動できているか」「対人コミュニケーションに支障がないか」などです。
その結果を踏まえ、産業医は復職可否や必要な配慮事項について「産業医意見書」を作成し会社に提出します。これは主治医の診断書とは異なり、職場環境や業務内容を踏まえ「健康と労働の両立」を検討したうえでの意見です。
会社は就業規則上の復職基準に照らし、主治医の診断書と産業医の意見を総合的に考慮して復職を認めるかを最終決定します。もし主治医が「時短勤務なら可能」等の条件をつけている場合は会社として受け入れ可能かを検討し、不足があれば主治医・産業医と再調整を行うこともあります。
復職が認められた際には、産業医指導の下で「職場復帰支援プラン」を作成し、無理のない範囲で徐々に通常業務へ戻す措置がとられます。例えば「復職後1ヶ月は時短勤務」「当面残業禁止」など、産業医から就業上の配慮事項が提案される場合もあります。復職後も産業医は定期的に本人と面談し、健康状態のフォローアップや必要に応じた助言を行い、再発防止に努めます。


精神科医(主治医)と産業医の連携のあり方

精神科の主治医と企業の産業医がうまく連携することは、休職・復職プロセスをスムーズに進めるうえで不可欠です。情報共有と役割分担がポイントとなります。
基本的には、主治医が医学的治療方針の決定と休職・復職の医学的判断を担い、産業医が職場での受け入れ体制や就業上のリスク評価を担当します。
互いの判断が食い違う場合もあるため、事前にお互いの情報を交換しておくことが重要です。例えば、企業側が主治医に対して職場での仕事内容や求められる業務遂行レベルの情報を提供し、主治医が復職可否を判断しやすいようにするといった連携が考えられます。
労働者本人の同意を得た上で、産業医と主治医が直接意見交換する場を設けるのも有効でしょう。主治医は職場事情を把握しづらいため、産業医から勤務状況や職場環境のフィードバックを得ることで、復職許可の是非をより慎重に決定できるメリットがあります。
最終的には労働者の安全と健康を最優先し、意見が異なる場合は安全側をとることが推奨されます。お互いの専門性を尊重し、「治療状況や心身の状態、就業の状況等を踏まえて主治医や産業医の意見を求め、その意見に基づき対応する」のが理想的です。


企業側が知っておくべきポイント

企業(事業者)がメンタルヘルス不調による休職者への対応をスムーズに行うためには、以下の点を押さえておくと良いでしょう。

就業規則や社内制度の整備

休職の要件や手続き、休職期間の上限、復職の判定方法(産業医面談や提出書類など)を明確に定め、社員に周知しましょう。休職期間中の賃金や社会保険料の扱いも確認しておき、トラブルを防ぎます。

迅速かつ適切な休職措置

従業員から主治医の診断書が提出されたら、すぐに休職発令を行い、必要な事務手続き(社会保険への届け出、傷病手当金の案内など)を進めましょう。安全配慮義務を遵守するために無理な就労を避けましょう。

産業医などによるフォロー

休職後は産業医や保健スタッフと情報を共有し、復職支援計画を検討します。産業医のいない小規模事業所では地域の産業保健センターなどを活用して医学的助言を得るようにしましょう。

休職中のケアと連絡方法

原則、月に1回程度の連絡で様子確認を行いましょう。出社は避け、電話・メールで近況を聞き、不安が大きいようなら産業医面談や社内の相談窓口を案内します。

復職判定と受け入れ準備

従業員の復職希望時には主治医の復職可能診断書を提出してもらい、産業医面談を経て最終判断します。職場への情報共有や業務配慮(時短勤務など)を整え、無理のない受け入れを準備します。

復職後のフォローアップ

職場復帰支援プランを作成し、段階的に業務へ戻しましょう。産業医面談や上司による観察で再発を防ぎ、負担が大きければ再調整を行います。

プライバシーと職場風土

休職・復職に関する個人情報の取り扱いに注意し、本人の同意なく周囲に病状を開示しないようにしましょう。休職者への偏見や誤解を防ぐため、職場における説明や協力体制づくりが求められます。


労働者側が知っておくべきポイント

精神疾患で休職・復職する労働者本人も、手続きや権利を理解し、スムーズに対応できるよう準備しておきましょう。

早めの相談と受診

体調が悪いと感じたら無理をせず産業医や上司、人事へ相談し、精神科への受診を検討。早期対処が回復を助けます。

診断書の取得と提出

休職には主治医の診断書が必要。症状や勤務状況を正直に伝えて休職が必要な場合、診断書を会社に提出し正式に休職手続きを開始します。

休職中の過ごし方

治療と休養に専念し、通院や服薬、生活リズムを整えるよう努力を。会社の連絡は最小限にしてもらい、回復を最優先に考えます。

給付制度の活用

休職中の収入が不安な場合、健康保険の傷病手当金(最長1年6ヶ月)などを利用可能。人事や医療機関で手続きの詳細を確認しましょう。

復職の準備と手続き

体調が回復してきたら主治医に復職可能か相談。復職許可の診断書を得て会社へ提出し、産業医面談で正直に状態を伝えて無理のないプランを作成します。

復職後の心構え

いきなりフルペースで働かず、短時間勤務や軽めの業務からスタートする場合が多いです。調子が悪ければすぐ主治医や産業医へ相談し、再発防止に努めましょう。


最新ガイドラインと実務の流れ

厚生労働省などは、メンタルヘルス不調による休職・復職支援に関するガイドラインを策定し、企業への周知を図っています。例えば「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、休職から復職後のフォローまで5ステップの対応策が示され、主治医・産業医・企業が連携すべきポイントを明確化しています。
近年では「事業場における治療と職業生活の両立支援ガイドライン」も発行され、がんやうつ病など長期治療を要する疾病と仕事を両立するための支援体制を整備するよう促されています。
大企業ではこうしたガイドラインを活用してリワークプログラムや段階的復職制度を整備し、中小企業でも地域産業保健センターを活用するなど実務面での取り組みが広がっています。ポイントは「主治医の診断書」「産業医の意見」「企業の就業規則と配慮」の三位一体で、労働者の安全と健康を守りつつ復職を実現することです。


まとめ

休職・復職において、精神科医(主治医)は個々の治療と休職可否を医学的に判断する立場であり、産業医は企業との中立的な位置で就業可否や職場配慮について助言をする役割を担います。
休職の判断基準は「業務継続が困難」かどうかで、主治医の診断書に基づいて会社が休職を発令します。復職時には主治医が「復職可能」と判断し、企業側は産業医面談を通じて最終決定を下します。
主治医と産業医の意見が食い違った場合でも、労働者の同意を得て情報交換し、調整していくことが大切です。企業は就業規則を整備し、安全配慮義務を果たす形で労働者の心身の健康を最優先に考えます。労働者側も早期相談や診断書取得、傷病手当金の活用など適切に行い、主治医と産業医・会社の連携のもとで無理のない復職を目指します。
企業と労働者が協力しながら、主治医の診療、産業医の職場評価、そして会社の配慮を組み合わせることで、心身の回復と安全な職場復帰を実現できるでしょう。


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