自分でできるアサーショントレーニング:自分の気持ちを大切に、相手を尊重しながら伝える方法

自分でできるアサーショントレーニング:自分の気持ちを大切に、相手を尊重しながら伝える方法

【はじめに】
職場や学校、家族や友人との関係で、「自分の意見をうまく伝えられず、ストレスが溜まる」「断りたいのに断れず、後で後悔する」などの経験はありませんか?
自分の気持ちや意見を尊重しつつ、相手にも配慮できるコミュニケーションスキルとして注目されているのが、アサーション(アサーティブコミュニケーション)です。
本コラムでは、医療機関としての視点から「自分でできるアサーショントレーニング」を紹介し、日常生活に取り入れやすい実践法やセルフケアのヒントをお届けします。

目次

  1. 1. アサーション(アサーティブコミュニケーション)とは?
  2. 2. アサーショントレーニングのメリット
  3. 3. アサーショントレーニングの基本原則
  4. 4. 自分でできるアサーショントレーニング実践法
  5. 5. 継続するコツ:セルフケアと周囲への相談
  6. 6. まとめ:自分も相手も大切にするコミュニケーションを

1. アサーション(アサーティブコミュニケーション)とは?

アサーション(Assertion)は、自分の意見や感情を正直に伝えながらも、相手の権利や意見を尊重するコミュニケーション手法です。
攻撃的(アグレッシブ)でもなく、受け身(パッシブ)でもない、中間的でバランスの取れた自己表現といえます。

たとえば、ノーと言いたい時にきっぱり断ることは自分の権利ですが、相手の気持ちも考えつつ、適切な言葉で伝えるのがアサーションです。
これにより、無理をすることなく相手とも良好な関係を続けられる可能性が高まります。

2. アサーショントレーニングのメリット

アサーショントレーニングを行うことで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

  • ストレス軽減: 自分の意見を言えずに我慢するとストレスが溜まるが、適切に表現できれば気持ちが楽になる
  • 対人関係の向上: 攻撃的な言い方では相手を傷つけ、受け身すぎると自分が消耗。
    アサーションは、双方が尊重し合える道を開きやすい
  • 自己肯定感のアップ: 「自分の気持ちを伝えられた」という達成感安心感で、自分を肯定的に捉えやすくなる
  • 問題解決力の向上: 誤解や衝突を防ぎつつも、必要な意見交換ができるため、トラブルの根本にアプローチしやすい

3. アサーショントレーニングの基本原則

アサーションを身につけるためには、以下の基本原則を理解しておくと良いでしょう。

  • 自分も相手も尊重する: 自分の思いを大切にしつつ、相手にも思い権利があることを忘れない
  • 具体的に伝える: 「嫌だ」「無理」だけでなく、「どこがどう嫌なのか」理由を説明し、相手にとっても分かりやすい表現を心がける
  • アイメッセージを使う: 「あなたは○○すべき」という言い方ではなく、「私はこう感じる」と主語を自分にする
  • 感情と要望を区別する: 「怒っている」「悲しい」という感情と、「こうしてほしい」という要望を分けて伝える

4. 自分でできるアサーショントレーニング実践法

以下は、自宅や日常で簡単にできるアサーショントレーニングの例です。
最初から完璧に行うのではなく、少しずつ練習してコツをつかむことが大切です。

  1. ①メモや日記で状況を整理
    「誰に何を言いたかったか」「どんな場面で言えなかったか」を書き出す。
    客観的に振り返ることで、改善点が見えやすい。
  2. ②アイメッセージで言い換え練習
    「あなたは~~すべき」を「私は~~と思う/感じる」に変換する。
    鏡の前で発声したり、一人ロールプレイしてみると効果的。
  3. ③身近なシーンで練習
    まずは小さな場面(コンビニやカフェの店員さんへの要望など)で、「もう少し暖かい飲み物がいいです」とハッキリ伝えてみる。
    成功体験を増やすと自信が持てる。
  4. ④ロールプレイを家族や友人とやってみる
    「上司に仕事を断りたい場合」など具体的なシチュエーションを想定し、練習。
    第三者からアドバイスをもらうと客観的な気づきが得られる。
  5. ⑤成功と失敗をフィードバック
    うまく伝えられた時も、伝えられなかった時も、原因や感想を振り返る。
    小さな達成感を積み重ね、自分に合ったアサーションスタイルを確立する。

5. 継続するコツ:セルフケアと周囲への相談

アサーションは一朝一夕で身につくものではありませんが、セルフケア周囲からのサポートを得ることで続けやすくなります。

  • 感情のメンテナンス: マインドフルネス深呼吸などを日常的に取り入れ、イライラや不安を緩和しておく
  • 成功体験の積み上げ: ほんの少しでも「言いたいことを言えた」「断れた」という成功を認め、自己肯定感を育む
  • 友人や家族の協力: 周囲に「アサーショントレーニングをしている」と伝え、応援してもらう
    ロールプレイの相手になってもらうのも◎
  • 専門家への相談: 心療内科カウンセリングで、苦手な場面や苦痛が大きい場面を専門家と一緒に分析し、具体的な解決策を得る

6. まとめ:自分も相手も大切にするコミュニケーションを

アサーション」は、自分の意見や感情を率直に伝えながら、相手の気持ちや立場も大切にする、双方に配慮したコミュニケーションです。
攻撃的でもなく、受け身すぎてもない絶妙なバランスを身につけることで、ストレスを減らし対人関係を円滑に保つことが期待できます。

当院としても、認知行動療法ロールプレイなどを通じてアサーティブなコミュニケーションをサポートするプログラムを提供しております。
一人で悩まず、周囲の理解専門家の協力を得ながら、自分らしいアサーションを身につけ、毎日の生活をより豊かにしていきましょう。

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